ヒストリカル・ボラティリティとインプライド・ボラティリティ
ボラティリティには 2 種類がある。ヒストリカル・ボラティリティ (HV) は過去の価格データから算出した実現値で、14 日や 30 日の対数リターンの標準偏差を年率換算して表す。インプライド・ボラティリティ (IV) はオプション価格から逆算される市場の将来ボラティリティ予想であり、Deribit の BTC オプションから算出される DVOL 指数が代表的。HV は事実データ、IV は市場の期待を反映しており、両者の乖離 (ボラティリティ・リスクプレミアム) は取引戦略の着眼点になる。
ボラティリティ・クラスタリング
暗号資産の価格変動には「ボラティリティ・クラスタリング」と呼ばれる特性がある。高ボラティリティの日の後には高ボラティリティが続きやすく、低ボラティリティの後には低ボラティリティが続く。この自己相関性は GARCH モデルなどで捕捉でき、翌日のボラティリティ予測に利用される。システムトレードではこの性質を利用し、低ボラ局面でポジションを拡大し、高ボラ局面で縮小する vol-target 手法が採用される。
ボラティリティとポジションサイジング
ポジションサイズの決定にボラティリティを組み込む手法として、ATR (Average True Range) ベースのサイジングがある。各銘柄の 14 日 ATR を測定し、1ATR の動きが口座の一定割合 (例: 1%) の損益になるようポジションサイズを逆算する。これにより、ボラティリティの異なる銘柄間でリスクが均等化される。暗号資産のように日次で 5-10% 動く資産と、1% 以下の伝統的資産を同じポートフォリオに入れる場合、ATR サイジングなしではリスクが偏る。
ボラティリティ・レジーム
暗号資産市場には周期的なボラティリティ・レジーム (局面) が存在する。ビットコインの半減期前後にボラティリティが上昇する傾向、DeFi 夏季やミーム通貨ブーム時のアルトコイン・ボラティリティ急騰、規制ニュースによるイベント・ボラティリティなどが代表例。レジームの切り替わりを検知し戦略パラメータを適応させる仕組みは、暗号資産のシステムトレードにおいて重要な設計課題である。