ベーシス

べーしす

先物 (または永久先物) 価格と現物価格の差。正のベーシスは先物プレミアム、負は先物ディスカウントを意味し、裁定取引の収益源となる

ベーシス (Basis) とは、デリバティブ (先物・永久先物) の価格から現物 (スポット) 価格を差し引いた値である。先物が現物より高い状態を「コンタンゴ (正のベーシス)」、低い状態を「バックワーデーション (負のベーシス)」と呼ぶ。暗号資産の永久先物では、ファンディングレートがベーシスを縮小させる方向に働くが、レバレッジの偏在により恒常的にコンタンゴ (年率 5-30% 相当) が観測されることが多い。この恒常的ベーシスがキャッシュ・アンド・キャリー裁定の収益源となる。

ベーシスの発生メカニズム

満期付き先物のベーシスは「金利 + 保管コスト − 便益利回り」で構成される (コスト・オブ・キャリーモデル)。暗号資産には配当や便益利回りが存在しないため、ベーシスは主に「レバレッジ需要のプレミアム」で決まる。強気局面でレバレッジロングが集中すると先物が現物に対してプレミアムになり (コンタンゴ)、弱気局面でショートが集中するとディスカウント (バックワーデーション) になる。永久先物ではファンディングレートがこのプレミアムを 8 時間ごとに調整する。

ベーシスの計測と年率換算

ベーシスは「(先物価格 − 現物価格) / 現物価格 × 100」で%表示する。満期付き先物の場合は残存日数で年率換算する: 「ベーシス% × (365 / 残存日数)」。永久先物のベーシスは 8 時間ファンディングを年率換算した値に概ね対応する。年率換算ベーシスが 20% を超える局面は、市場がレバレッジロングに過熱しているシグナルとして注目される。

ベーシストレード (キャッシュ・アンド・キャリー)

正のベーシスが存在するとき、現物を買い・先物をショートすることで価格変動リスクを相殺し、ベーシス縮小分を利益として取るのがベーシストレードである。満期付き先物なら、満期にベーシスがゼロに収束するため確定リターンとなる。永久先物の場合はファンディング累計として受け取る。伝統的金融の債券ベーシストレードと同じ構造だが、暗号資産では年率換算利回りが高い代わりに取引所リスクが残る。

ベーシスリスク

ベーシストレードは理論上リスク中立だが、実務上は「ベーシスが一時的に拡大する」リスクが存在する。レバレッジショート側の証拠金が圧迫され清算されると、ポジションが崩れ損失が確定する。2021 年 4 月にはベーシスが一時 50% 年率を超え、ショート側のマージンコールが発生した事例がある。ベーシストレードを行う際は、ベーシス拡大時の追加証拠金を確保し、清算価格に十分なバッファを持たせる設計が不可欠である。

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